【前回記事を読む】12歳上の彼女が僕の名前を呼び、大好きだと言った。そばにいると、元気になれると言ってくれた…

~ 出会い Marlon & Lisa ~

僕にとって、毎日Lisaに会える日々は楽しかった。しかしある日、母から思いがけない言葉を掛けられた。母は明らかに怒っている。

「Marlon、ちゃんと学校での勉強をしてから出掛けなさい。あなたは学校で何があったか話もしないで出掛けてしまうことがあるでしょ。きちんと学校でのお話をして、お勉強をして、それからよ、出掛けるのは。用事もないのに毎日なんて一体何を考えているのかしら?

いい、Marlon。Lisaはお勉強のためにここへ来ているのよ。あなたと遊ぶためじゃないの。分かった?」

僕は悲しかったが、「はい、ママ。分かった。そうするよ……」と言った。Lisaに会うためにはそう答えるしかないからだ。本当はママに抱きつきたいと思ったけれど、何かが僕の中で拒絶した。ママはそのまま僕に背を向け庭に出た。これから咲く花の手入れを始め、僕を振り返ることもない。

その日は出掛けることをやめ、庭仕事をする母の背中を見ながら仕方なしに勉強をすることにした。

勉強をいっぱいして、大人になったらLisaと結婚するんだ。だから今よりも、もっと勉強を頑張る。

母が不機嫌になることを分かっていても、それでも僕は用事をひねり出してLisaに会いに行った。5歳の僕をLisaは飽きずによく遊んでくれたものだ。

ある日、僕はLisaが作ってくれたツルをクラスメイトのBessyに渡した時の評判を報告するためにLisaに会いに行くことにした。

家に帰りお昼を済ませ、Lisaが学校から帰ってくる時間を見計らうように勉強を済ませ、走ってLisaの元へ急ぐ。近所の公園を抜け、いつも挨拶するPotterさん家のセントバーナードのDavyに目もくれず、ビューン!

Davyごめん。今日は急いでいるんだ。Davyは途中まで僕を追いかけるような素振りを見せたが諦めたのか、すぐに座り込んだ。祖父母の家の玄関の前で両手で膝を押さえて息を整えるが、Lisa会いたさにゼーゼーと息が荒いまま僕は玄関をノックした。