『女風のリピーターになる私』【みつき】
本指名のYくんと予定が合えば予約するようになっていた。
この頃には離婚も成立し、心身共に自由。
施術後のYくんとの会話は相変わらずだった。
あるとき私は、
「Yくんはこの近くに住んでいるの?」
と何気なく質問をした。
すると彼の返答は、
「そんな近くないよ」
とだけ。
なんだか拍子抜けした。私はどこに住んでいるのか探りたかったわけではなく、会話の一つとしてしただけの質問だったのに、返答をごまかされた気分になった。
売れっ子のセラピストの彼からすれば、自分のプライベートなことは話したくないのかもしれない。
お客さんにもいろいろな方がいて、中にはストーカーのようになる人もいたり、他のお客さんにやきもちを妬いたり、サービスの中で本番を求めるお客さんもいるだろう。
Yくんの魅力に取り憑かれた私にも少なからず、その気持ちはわかる。
お金を払って受ける性的サービス。
風営法でも本番行為は禁止されている。
ただ、密室に男女二人きりの空間。
これを疑似恋愛と錯覚してしまい、お店のルールなど忘れてセラピストを一人の男性として求めてしまうことがあっても、おかしくはない。そして、それはセラピストへ使う金額が増えれば尚更なのかもしれない。
ただ、私は会話の弾まないYくんに少し不満を抱き始めていた。私はセラピストとしての彼のプライベートを詮索するつもりなんてない。「じゃ何を話すの?」と。
気持ちが冷め始めたら、もうお金を払って会いたいという気持ちは弱くなっていく。
とても素敵な男の子でテクニックもあるYくんには会いたい。でも、結局は、不満はどんどんと増していくばかりだとわかっていた。
これを機に私は彼からは離れることにした。
次回更新は4月1日(水)、22時の予定です。
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