【前回の記事を読む】終わった後は、唾液を洗い流すために「そろそろシャワーしよっか」とエスコート。ご奉仕のペース配分がわかるようになってきた。

『セラピストとしての痛恨のミス』【セラピストK】

お客様との時間を有意義な時間にしたい。そのために僕はお客様の良いところ探しをする。

ご利用になる方の年齢やバックグラウンドはさまざまだ。

もちろん、普通に生活していたら、こんなゼロ距離では会わないだろうという女性もいる。

でも、そんなお客様を選別することはしたくない。だから、いつも僕は、お客様の良いところを探していた。

「すごく母性を感じる、素敵な女性だね」

この言葉はそのお客様へ感じた素敵な優しさをそのままに伝えた言葉だった。

このお客様にはお子様がいることも会話の中で知っていた。

すると、お客様から、

「Kくんの前では、〝母親〟ではなく、〝一人の女性〟として見られたかった」

お客様のご要望を捉え損ねた。

このお客様は〝母〟としての自分を捨てて〝女〟として僕に会いに来てくれていた。

それなのに、僕は、彼女のそんな気持ちを汲み取れず言ってしまった言葉だった。悪気はない。けれど、お客様のご要望とは外れていた。

これは一つの例だけれど、女風をご利用になるお客様は〝非日常〟を求められる方が多い。それなのに、僕は彼女を〝日常〟に戻してしまうような言葉を発してしまったのだ。

お客様とのやりとりの中には他にもたくさんのミスはある。

初指名、女風初利用のお客様との準備をしているとき、自分のバッグの中にマッサージに使うオイルがないことに気がついた。

「ごめん。少し待っててね」

とお客様を一人部屋に残し、車の中にオイルを探しに行った。

車の中のどこを探しても見つからない。

前のお客様のときにホテルに置き忘れたのか。

指圧マッサージからオイルマッサージ。そして性感マッサージという流れができない。

部屋に戻る途中、このミスをごまかす理由を考えたけれど、僕は正直にお客様に伝えることにした。

「ごめんなさい。オイルを持ってくるのを忘れてしまいました」

と僕が謝ると、お客様の反応は、

「何それ!」

と笑ってくれた。

本来、セラピストとしてはあるまじきミス。もちろん、なんとなくごまかすことはできたのかもしれない。〝リピートをもらえないかもしれない。いや、むしろ、クレームになるかもしれない〟という気持ちをもちながらありのままを伝えた。

そのお客様は、とても寛容な方なのか、こちらの誠意が伝わったのか、その後も、リピートをしてくださった。

そして、二度目のご予約のとき、

「初回のときは、本当ごめん」

と伝えると、

「あのとき、Kくんがちゃんとミスをした自分を認めて謝ってくれたから、また会いたいと思えたんだよ」

と言ってもらえた。

たとえ、風俗とはいえ、お客様もセラピストも血の通う人。

本来ならクレーム案件でも文句も言えないことだけれど、そのお客様はそんな僕に誠意を感じてくれたのか、その後もリピートをしてくださった。

対人の仕事とは、本当に奥深いなと思い知らされた僕のミスだった。