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転職

「課長、国際会議室の改装設備計画の社長承認が確定しましたので、設備課に回して工事を進めてもらいます」

「来年一月からは、国際会議が増えてくるから、年内に完成するように伝えてくれ」

「承知しました。スケジュール管理は注視しておきます」

総務課は、備品や機器の管理から社内行事の企画・運営など、会社の組織全体の運営に必要な、幅広い業務を担っている。課員内のコミュニケーションも多い。白川と島田は同期で仲が良いので、島田を仲介したアプローチができる。

この会社は、準大手の商事会社で神永商事株式会社だ。社員は三千人だ。横浜みなとみらい地区の中ほどにある二十階建てのビル内にあり、その十階のフロアーに管理部門がある。みなとみらい地区の近辺には、野球場や中華街がある。

今年のお盆休み前の週に、総務課の、暑気払いの飲み会があった。課長は、中華料理が大好きで、課全員で参加した。もちろん、社長秘書も参加した。中華街には、タクシーを使って十分くらいで着く。

課長の好みは、広東料理であり、フカヒレ料理や酢豚は定番だ。皆さん、よく食べ、よく飲んだ。ゴルフのスコア、新しい道具、プロゴルファーの活躍、次回の社内コンペの予定など、話は尽きない。

ほろ酔い気分になると、課長から、時々、試される。

「富永君、中華料理は勉強しているのか? 主な料理は何だ?」

「北京料理、上海料理、四川料理、広東料理が四大中国料理です。横浜中華街は、広東料理が一番多く、北京料理は少ないです」

「時には、食べに来るのか?」

「誰か付き合ってくれる人がいれば、月に一度くらいは来たいですね。今度、島田さん、白川さん、ご一緒にどうですか?」

「手ぶらでよければ、いつでも歓迎です」

笑いながら島田さんが答えた。

「白川さんはどうですか?」

「島田さんと一緒なら、付き合います」

「ようし、お金をためて、近いうちに中華街探索をするか。一年以内に、中華の通を目指すか」と富永は気勢を上げた。

飲み会が終わった後、富永、島田、白川の三人は、マリンタワー近くのカフェに寄った。週末なので、午後八時を過ぎているが、混んでいた。周辺は、タワーのカラフルな光、港に浮かぶ氷川丸の照明、夜空に輝く星、などロマンチックな夜景だった。

三人はそれぞれ、ブレンド、エスプレッソ、カフェオレをオーダーした。

「今日の飲み会は、盛り上がったね」富永が切り出す。

「課長さんは、会のムード作りが上手ですね」島田が同意する。

「総務課は、よくまとまっていると、他の課の人も噂しています」白川も頷く。

話題は、アメリカの大リーグ野球での日本人選手の活躍、最近、アカデミー賞を取った日本映画など、最新情報を交換した。

「そろそろ、九時半だ。タクシーで横浜駅まで行き、そこで別れよう。三人とも、定期券があるからね。白川さんは日吉駅、島田さんは白楽駅、僕は保土ヶ谷駅だ。それでは、出よう」