だが、もう一度趣味で声楽をやってみたくなり、数年前からレッスンに通っていたのだ。コーラスグループに入っていた時期もあったため、そこで知り合った友人たちもいた。

2011年3月の東日本大震災直後に、私は初めて、「アニマルチャリティコンサート」の前身となる「サロンコンサート」を開催することになった。場所は表参道にあった私のインテリアショップ。

協力して下さったのは、中山博之さんという作曲家兼ピアニスト。

震災の直後だったにもかかわらず、ショールームがいっぱいになるくらいの30人ほどのお客様が来てくださった。

もちろん、「J」も小雪も会場でピアノの演奏を聴いていた。

手ごたえを感じた私は、翌年の春にもう一度プレ・コンサートを開催した後、2012年秋にNPO法人化し、公共のホール等を利用し、「アニマルチャリティコンサート」を開催することになった。

「J」からもらった幸せへの恩返しは、こうして始まった。

クリスマス・イヴ

「J」は2005年の12月24日生まれだった。

だから、クリスマス・イヴは「J」の誕生日でもあり、毎年必ず家族だけでお祝いをした。

「J」のために、毎年いろいろなお店からペット用のケーキを注文した。

毎年増えていくローソクの数。

「J」くん、おめでとう! と言いながら、このまま時が止まって欲しいと願った。

「J」の顔には、いつの間にか白髪が目立つようになっていた。

いつか来るであろう「J」との別れを、私は何よりも恐れ始めていた。

特注スロープ

「J」の我が家でのお気に入りの場所は、夫の書斎の出窓だった。

奥行きは60センチほどあって、石張りのヒンヤリとした感触が気に入ったのだと思う。