商業的にも世界的大ヒットとは言いがたい。

YMOが世界でヒットしたアーティストとして認識している人々は多いが、そうではない。

全米ビルボードTOP100のYMOのデビューアルバムの最高位は81位であり3、ヒットとは言えない。音楽プロデューサーの佐久間正英4も、YMOの世界的商業的ヒットの真偽に関しては後に疑問を呈している。

 

「広義で世界的な成功というのとは少し違っていて、クラフトワーク級になれたか?といえばそうではない5

 

グリーク・シアターにもワールドツアーへも同行取材した音楽評論家で音楽プロデューサーでもある立川直樹はそれを裏付けることを述べている。

 

「実はあのときはあまりウケてないんですよ。(中略)でもロンドンとかニューヨークとか、ある程度新しいものを吸収しようとしているところでは食いつきが悪くなかった6

 

村井と川添の思惑として、ワールドツアーが日本でのプロモーションに利用することを含めての決行だったことは事実である。しかし、最初から日本だけのプロモーションのためにワールドツアーを行うつもりは毛頭なかったはずである。

村井や細野が言うように、あくまでも狙いはアメリカ、そして世界だった。

日本で即座に理解されない音楽だとはわかっていても、世界で理解される可能性はある。

少なくとも一定数の理解できる層には届いた、という意味では細野の思惑は叶ったであろう。村井や川添にとっても欧米で反応があれば、それを日本でのプロモーションに生かす、というプランを持って社運をかけた巨額の〈賭け〉だった。

つまり最悪の場合、世界はおろか日本でも当たらないリスクも背負っていたのである。世界では商業的に成功とは言い難い。

しかしその後日本で国民的大ヒットとなったのは〈賭け〉に勝った、ということである。