【前回の記事を読む】ワールドツアーでは、飛行機は常にファーストクラス。移動にはリムジンを使った。YMOの徹底的なブランド化にメンバーは…

DiscI YMOバイオグラフィー

Track1. 突如出現した電子音の魔法

ワールドツアーとショービジネス

坂本龍一は後に述べている。

 

「YMOが欧米人をひれ伏させた、どうだ、と。村井さん達はそういう凱旋記事をたくさん書かせ、そしてその狙いは見事に当たった。

僕自身は面映ゆかったけれどもね。(中略)当時は情報のソースが少ないから、1つの情報が生む妄想力がすごかったんです。

YMOがロンドンに行ってすごく受けた! というような凱旋記事がものすごく力を発揮して、どんどんと受け手の妄想を肥大化させるわけです1

 

YMOはアルファという新興レコード会社から出たユニットであり、メンバーの3人も、ごく一部のサブカルエリートしか知らないミュージシャンであった。

このときYMOはまだサブカルチャーの域を出ない存在であったのである。ところがいきなり、このワールドツアーは日本のサブカルチャーであったYMOのグローバル化、ポップカルチャー化のトリガーとなるのである。

ここで冷静に分析して明確にしたいことがある。

それは、ワールドツアーによってYMOはグローバルに名が知られることとなったが、ただちに世界的に大絶賛・大成功となったとは言えないということである。

YMOと親しいミュージシャンであり音楽評論家の近田春夫は実際にニューヨークの公演を観に行ったときのことをこう述べている。

 

「日本に帰ってから読んだコンサート評と現実がすごい違ったのが面白かったね。

『観客は圧倒されていた』みたいに書かれていたけど、実際はしらけてただけ。

シーンとしてて、厳かな拍手があって、『よくわからないけど、すごいんだろ』みたいな2