【前回の記事を読む】3人は同時多発的に〈新しい波〉を意識し始めた。こうして生まれたのが「YMO=テクノポップ」を確立した名盤、2ndアルバムだ
DiscI YMOバイオグラフィー
Track1. 突如出現した電子音の魔法
ワールドツアーとショービジネス
ここで川添も活躍する。まず、欧米でのショウビズの経験を生かして、YMOのステージ上での演出を指示する。川添は2018年に次のように述べている。
「欧米での日本人のイメージに合わせて、君たちはMCもあいさつも入れずに疾風怒濤のように連続して曲を演奏した方がいい。笑顔もいらない。その方がインパクトがある、と1」
赤い中国の人民服のようなものを着て東洋人的な文化を醸し出し、ニッポン最新のテクノロジーを想起させる大量のケーブルがステージを覆い、巨大な機械(モーグⅢ-C)が剥き出しのステージは、オリエンタル日本の最新技術がミックスしたイメージとなり、インパクトがあったに違いない。
グリーク・シアターの初日での盛り上がりを見た村井と川添は、急遽最終日の3日目にライブを撮影し、この映像をアルファのスタッフに持たせ即刻帰国させ、NHKに売り込んだ。
これが放送されたかどうかは不明だが、川添は帰国後、この映像を編集しプロモーションビデオ(以下MVと表記2)を作ってしまう。
カメラは5~6台は使用しており、カット割り編集、当時最先端技術だった編集エフェクトを使ったもので、相当な制作費をかけている。この映像がのちの日本での大ブレイクに大きく奏功することになる。
YMOは帰国したのち9月14日~15日にザ・チューブスによる芝・郵便貯金ホールでの来日公演の前座として出演する。
1年前の紀伊國屋ホールでのライブに比べて反応は良かったものの、あくまでザ・チューブスの前座であり、グリーク・シアターでの評判はまだ広く知れ渡っていなかったが、一部のサブカルエリートが反応し始めた。