【自閉スペクトラム症】

自閉スペクトラム症とは、以前の広汎性発達障がいのことです。広汎性発達障がいは、自閉症(社会性を身につけることが困難である、言葉の発達の遅れや独り言が多いなどのコミュニケーション能力の障がい、興味の範囲が狭いなどの特徴がある)、アスペルガー症候群(自閉症と症状は似ているが言葉の発達の遅れといったコミュニケーション能力の障がいはない場合)を中心に、チック(ある一部の筋肉を、突発的に、目的なく無自覚に動かしたり、突発的な発声をしたりする)などを含むものの総称として使われていました。

自閉症はリンゴの芯にあたり、アスペルガー障がいは、いわばリンゴの実のあたりにあるものを、一つのリンゴとして一括して広汎性発達障がいと呼んでいたわけです。今回、DSM-5によってリンゴ全体の名称が、自閉スペクトラム症に変わったということです。

平成24年度の厚生労働省の障害者総合福祉推進事業として発表された「発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン」によると、自閉スペクトラム症の有病率は、おおよそ1〜2%、100人に1人か2人の割合で、また2008年に発表された「広汎性発達障害の疫学に関する文献的研究︱自閉症を中心に︱」(加我牧子・藤田英樹・矢田部清美・稲垣真澄、精神保健研究)によると、男児に多い傾向にあるといいます。

最近では、学校の一クラスに2〜3人はいると考えられています。特徴としては次の4つが挙げられます。

・対人関係が薄い、共感性が乏しい、視線が合いにくいなど、人との相互交渉が苦手である。
・話し言葉でのやり取りが特に苦手で会話が成立しない時がある。
・未来の見通しを立てて行動したり、応用が利かなかったりと想像して行動することが不得意。
・一つのことにこだわりを持ち、関心の幅が狭い(IQテストなどで、項目ごとに差が出やすい、いわゆる発達が凹凸のタイプ)。