「どうかした。貢が浮気でもしたの?」

私がその言葉に頷いたような反応を見せたことを華菜さんは瞬時に気づいた。

「また、モデルに誘惑されちゃったの?」

「違います。貢さん、朝帰りしたんです。香水の香りつけて」

華菜さんはビックリした表情を見せた。

「マジで、相手は誰」

「わかりません。でも、ごめんって」

「誰だろう」

「でも、俺を信じてくれって」

華菜さんはしばらく考えていた。

「それと……」

「まだあるの」

「これは私が貢さんを怒らせてしまったんですけど、前に結婚を考えていた彼が事故死して、貢さんを彼のお墓に連れて行ったことがあるんですけど、そのお墓にこの子の報告をしに行ったら、『その子は圭人の子供なのか』って怒鳴られて」

「それ、完全に嫉妬だよね」

「もう、貢さんは何を考えているのか分からなくて」

私は涙が溢れて止まらなかった。

「あのう、華菜さんが言っていた貢さんが愛した唯一の女性って、誰ですか」

「その人のことは詳しくは知らないの、でもその人とどうかしちゃったってありえないけど……」

「私、貢さんの側にいてもいいんでしょうか」

「また弱気になる。沙優さんは貢の奥さんなんだから。それに、貢は父親になるんだから責任があるのよ。どんと構えていれば大丈夫よ」

華菜さんはいつも頼りになる人だと改めて痛感させられた。

「ありがとうございました」

「多分、何かの間違いだと思うわよ。気にしない、気にしない」

華菜さんとは何も解決しないまま別れた。

次回更新は3月18日(水)、22時の予定です。

 

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