【前回記事を読む】「からだ触らせてくれよ」と言われて、私は持っていた食パンを落とした。あの抱擁以降、利用者さんが止まらなくなり…
裸を見せて
次の日は休みだったので、丸坊主にしてやろうかと思った。やめた。眠ることにした。
眠って眠って眠りまくった。
誰しも平等に朝は来るものですね。地球は私のために回ってないですからね。たっぷり睡眠をとったので、お肌もピカピカですよ、ええ。そして今日は一日グループホームなんですよ。
「あなたの裸の写真欲しいんだよなあ」
そら来た。やらないよ。だんまり。
「切り絵集中です」
そう告げて黙々と仕事をした。リビングに来る利用者さんはほとんどいない。みんな各々の部屋でテレビを見て過ごしている。拓也さんは広い机で作業をしたいから、私と同じ空間にいる。時々はなにか頼まれる。ここを押さえてくれ、この刃替えたいからこれ持ってて。
はい、はい、と私は黙って対応する。
お昼ご飯を作った。今日はラーメンだった。麺類を6人分伸ばさず、冷ますことなく出すのは結構大変だ。その上、一人一人訪室して「お昼ができましたよ」と声をかけなければいけないし、トイレに連れていかなければいけないし。
私が怒っていたら、お昼が終わった拓也さんも怒った。
「カツオ節のおにぎりあっためてって言っただろう」
そうだった、タッパーに入れて渡されてた。そう頼まれてたんだった。朝、世話人さんの作ったおにぎり。でも配膳する時にはもうなかったから、忘れていた。
「ごめんなさい」
素直に謝った。拓也さん怒っている。
「なんか忙しそうだったからよ、言えなくて引っ込めたんだよ」
「ごめんなさい」
再度謝る。少し拓也さんの顔が緩む。
「後で喰うからいいよ、でもラーメンの時は俺一緒にメシ食うから。覚えといてな」
「はい」
しゅん、とした。仕事なあなあになっていたかな。拓也さんが「洗濯干したのか」とか、「おい電話なってるぜ」とか色々助けてくれるから。怒りにかまけて、拓也さんに甘えて忘れちゃったんだ、私。反省しよう。