ちょっとは反省しているのかと思ったら、

「あのよ、おっぱい見せて」

おかえり、っていう日本語忘れたのか。それが挨拶になったのか。どうなってんだ。

「嫌だ嫌だ嫌だ、触られるより見られる方がもっと嫌だ、馬鹿、変態、あっちいけ、部屋へ行け、反省しろ」

と体をぎゅっと抱えて私は怒った。

食材の検品、入浴、トイレ、配膳等々、集中しろ、頑張れ自分。あやつに負けるんじゃない。

記録を書く、集中、食後の服薬忘れるべからず。

カタカタとパソコンに記録を打ち込んでいく。

食事を取り終えて一服した拓也さんが通りすがりに、

「おっぱい見せてくれよ、待ってるよ」

とささやく。聞こえません。聞こえないよ。

全くもう、触りたきゃ触れ、見たければ上手に脱がせろよ、その気にさせてみろ。人生自棄になってはいけない、と自分に固く課しているのだが、ああ、もういいや、とお部屋にお邪魔して上着を脱いでやろうかと思った。

よし、就寝の介助は終了。帰ろう、と思ったら喫煙所に拓也さんがいる。

「あのさ、写真に撮って送ってくんねえかな、LINE教えるから」

もうパンチやキックが飛び出す寸前だが、

「できるわけないでしょう。おっぱいって検索バーにいれて画像押したらいっぱい出てくるよ。私ガリペタだから、がっかりするっての。万が一そんなことしてほかの職員に誤送信でもしたら大問題だからね、分かるでしょう」

拓也さんは背が高いので私はのけぞって、漫画のような怒り方をした。