【前回の記事を読む】フィリピンでの食事は粗末だった。骨にこびりついた肉片、匂いの強い炒めた飯と、具のない薄味のスープを口にすると…
1 異郷の島へ
夜になると木田には何もすることがなかった。明日は当地のキリスト教系の慈善団体と合同でマンギャン族の教育設備に関する調査に出かけるというが、ドクターは来たばかりでお疲れでしょうから、明日は残ってゆっくり休んで下さい、と言われていた。
朝にはウェンディという娘が来ますから彼女と英語のレッスンでもしていて下さい、ということだった。
特別することもないので、シャワーでも浴びようかと思ったのだが、栓を一杯に回してもお湯はたらたらとしか出なかった。
それでも、こうしてお湯のシャワーが浴びられるのは贅沢と思わなければならない。ショボショボとしたたるように落ちて来る温(ぬる)い湯で、身体に塗り付けた石けんを洗い落とし、早々にベッドに入ることにした。
ベッドには布団も毛布もなかった。マットの上に大きめのシーツが直に敷かれているに過ぎない。どうやらこのシーツに包まるようにして寝るものらしい。それでも疲れていたせいか、ほどなく意識は遠のき、深い眠りに落ちるのに時間はかからなかった。