【前回記事を読む】証券アナリストのコメントを見るメリット。アナリストのレポートを見ることで株価が動きやすい時期とパターンが分かる
第1章 アナリストレーティングの基礎知識
COLUMN 1 ネットキャッシュ比率とは
ネットキャッシュ比率(=ネットキャッシュ倍率)とは、ネットキャッシュと企業の手元流動性である現預金に短期有価証券を加えた数値から、借入金や社債等の有利子負債を差し引いた金額です。
そのネットキャッシュを時価総額で割った倍率をネットキャッシュ比率もしくはネットキャッシュ倍率と言います。ネットキャッシュ比率が大きい企業は買収対象になりやすいと言われます。
例えば、ネットキャッシュ比率1倍の企業の場合、時価総額で買収すれば、それと同等のネットキャッシュが手に入るわけですから、実質的にタダで企業を買収できることになります。
当然、そうした企業の経営者は、買収防衛策として時価総額を上げるために、様々な戦略を講じることを迫られます。
傾向として多いのは、ROE(自己資本利益率)を高める施策を打ち出すことです。例えば、増配や自社株買いなどの株主還元を行う可能性が高いので、投資対象として魅力的です。
投資レーティングはあくまでセクターニュートラルの相対評価である
アナリストレーティングは多くの証券会社において、(1)現行株価より15%超アップサイド(株価が上昇する可能性)が「買い」、15%超のダウンサイド(株価が下落する可能性)が「売り」、その中間が「中立」、(2)セクターニュートラル(中立)の相対評価であること、(3)カバレッジ社数に占める「買い」レーティング社数の最低3分の1は「売り」を付与しなければならない、等のルールが存在します。
そのルールは証券会社によって異なると思われますが、概ね考え方は同じでしょう。
ここで、個人投資家の皆様に理解しておいてほしいことがあります。最も重要なことは、アナリストのレーティングはセクターニュートラルが大前提にあるということです。
例えば、半導体セクター(業界)と自動車セクターでは、株価ドライバー(株価を動かす外部要因)が全く異なります。
今後、12か月~18か月においての株価パフォーマンスも異なるでしょう。それでも、アナリストは、各セクター内の銘柄の選好順位をつけなくてはならないのです。
つまり、一定期間において、半導体セクター内で「売り」のレーティングを付与された銘柄でも、自動車セクター内の「買い」の銘柄と同等のパフォーマンスを実現することも少なくありません。