【前回の記事を読む】結婚して15年。奥さんとは新婚の頃と変わらず週に2、3回は「夜」を楽しんでいる——

Ⅰ 迷わずに「世界平和」よりも「セックス」を選ぶ人達

陽だまりでエロス?

モデル 愛情深い者同士なのに、なぜか対立している男女 共に四〇歳

彼女は社会運動に熱心 

彼女を突き動かしているのは「一人でも多くの人々を救いたい」という博愛精神

休日は 市民の生活や権利の向上 労働環境の改善や反戦・反核を求めて

進んで集会やデモ行進に参加したり 陳情書の署名を集めたりしている

NPO法人の一員として 地域では ホームレスの人々に食料を届けたり

発展途上国から来た留学生や労働者のためにバザーを企画したり

暮らしの相談窓口のボランティアをしたりしている

海外の恵まれない子どもたちのために

毎月の給料から 国際機関や公益社団法人に 一万円ずつ寄付もしているそうだ

そんな彼女だが 実は独身

朝から晩まで 世のため人のために活動した後は

誰も待っていない自宅へ一人帰っていく

彼のように家族の写真が部屋に飾ってあるわけではない

セックスだってもう随分(ずいぶん)と長い間していないはずだ

実は彼と彼女は同じ大学出身で しかも同期入社

折に触れて 彼女は 彼に苦言を呈(てい)する 

「あなたとあなたの家族が幸せだったらそれでいいの?

身の回りのことだけでなく 広く社会や政治の問題にも目を向けてほしい」

「社会の仕組みが良くならなければ 政治の在り方が変わらなければ

暮らしにくい世の中になって 巡り巡って 

あなたが一番大切にしている家族の幸福も やがて奪われてしまうわ」

「是非 私たちと一緒に活動しましょう 日本中 そして世界中の人々の平和のために」と

すると彼は

「君は 遠くにいる人ばかり大切にし すぐ近くにいる人を大切にしない」

「君は凄いと思うし尊敬もするけど そういう生き方は自分にはできない」

「君もいつか 心の底から燃えるようなセックスのできる相手が見つかれば

僕の気持ちがきっとわかるはずだよ」とすぐさま反論する

このやり取りを偶然見かけた同僚たちは

「世間からの評価でいえば 彼女の方が高いかもしれない」

「でも 心の底では彼のような生き方を 

誰しも羨(うらや)ましいと感じているのではないだろうか」

「あなたなら どちらの生き方をお望み?」

などと無責任に論評し合っていた