何の脈絡もなく、ただ漠然と天文学者などと言って、内心ではプロ野球選手になるのが夢と思いつつも口に出せなかった僕とは大違い。しっかりと考えている。
「次はジョー、おまえは?」ジョンがジョーに振る。
「オレは、弁護士か会社の社長になりたい。社会の役に立つ仕事をしたいと思うよ」とジョー。さすが、彼もしっかりしている。
皆がミッキーの顔を見ると、彼は「僕は、銀行員とか公務員とか、手堅い仕事が向いていると思っているよ」皆が、ミッキーの発言を聞いて頷(うなず)く。
ただ、僕は「ミッキー、今から銀行員とか言って、夢がないなぁ! もっと他にないのか?」と言った。これは、後日談になるが、希望していたミッキーと、「夢がない」と言った僕の二人が共に銀行員として働くことになる。
「別に銀行員だっていいじゃないか。夢がないなんて失礼だ。夢は、人それぞれ違うものじゃないか」とミッキーは返して、「ところで、トム、君は何になりたいんだ?」とトムに振った。
「オレはまだ定まっていないが、三つほどある。一つは医者だ。人間の体は、それこそ宇宙ほどの深みや謎があって複雑だ。色んな病気を治して、色んな苦しんでいる人たちのためになりたい、というのが一つ。二つ目は、作家、小説家だ。ものを書いて、皆に読んでもらい、感動を与えたい。
三つ目は、小学校の先生も夢として持っている。未来のある子供たちに接することに夢や希望を感じるよ」とトムは話した。
さすがトムはしっかりしている。トムだけじゃない、ジョンもジョーもミッキーもしっかりしている。僕だけが、なれもしない天文学者と言い、半ば本気でプロ野球選手になりたいなどと思っていて、一人、子供のように思えた。
「皆、色んな夢があって良いじゃないか。良い話を聞かせてもらってありがとう。これからも仲良く、野球も頑張って。それでは私は寝るとするよ。おやすみ」と言って、トムのお父さんは部屋を出た。