だが、クロカリは、一計を案じた。「ほう、奴(やっこ)さん、そう来たか。でも、そっちが、その気なら……」

それはスマホで、パソコン画面を動画撮影するという保存方法だった。父親がかつて、テレビの歌謡ショーで、キャンディーズやら麻丘めぐみを、ビデオカメラで撮って保存していた超アナログな録画方法を思い出したのだ。

こうしてクロカリは、ものの見事に、すべての動画を録画することに成功し、さらに、すぐさま、USBと外付SSDにバックアップした。

『ある灯台守の一日』を再現してみよう……。

一九四四年(昭和十九年)の夏カメラが日本列島からM半島へとゆっくりとズームイン。その映像はZ埼灯台の位置でピタリと静止し、そこが、ピカリ、ピカリと数回点滅して本編スタート。

タイトル・イン。「A day in the life of a lighthouse keeper 1944」

紺碧の海を臨む岬に、樹木に見立ててカモフラージュされたZ埼灯台。

カメラはその灯台を一周するように動き回り、迷彩色で塗装された官舎や灯台守の居住スペース、裏庭の小さな畑、官舎の内部を次々と映し出していく。

工具が並ぶ作業場に入る。そこには齢四十過ぎとおぼしき日焼けした灯台守が遊星歯車の修繕に没頭していた。

カメラに気づいた男は作業を中断し、黒板の日課表を示しながら、霧笛や手旗の役割、レンズ磨き、ランプ燃料の補充、雨水の貯蓄、気象観測の方法といった灯台守の作業手順を説明していった。

 

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