「そしたら、私の豆戦車だ!」と、思ったが、鉄のフェンス越しから、小さな少女が豆戦車を強奪しようとしている所を、MP(米軍憲兵。警備や保安が任務)が目撃した。
「オーマイゴッド!」
意気揚々と豆戦車を引き摺るたかちゃんの後ろから、二人のMPが走って来る。
たかちゃんの背後から、目の色が変わったMPが走って来たのだ。
「ああっ、不味い、見付かっちゃった!」
豆戦車を必死で引っ張り、追って来るMPを振り切って運ぼうとしたが、しかし、小さな豆戦車とは言え、鉄の塊で重くて、走るほどのスピードが出ない。
これでは逃げ切れないと、慌てるたかちゃんの前に、追い付いたМPの二人がニンマリと微笑んで、たかちゃんの行く手を塞いだ。
「ああ、万事休す、失敗だ!」
どうする事もできずに、引いていた豆戦車を離すたかちゃん。
俯きながら、二人のМPを見ると、何とも綺麗な真っ白い歯を剥き出して笑っていた。少女が豆戦車を放棄すると、МPはニコニコとしているだけだった。
後ろを振り返りながら、たかちゃんは肩を落としてとぼとぼと、その場を後にした。
上手く行けば、もう一台も含めて、二台の豆戦車を持って行く、たかちゃんの計画が、完全に失敗した。
観念したたかちゃんは、渋々、豆戦車を諦めた。もうちょっとで、持ち去れたのだが、見付かっては仕様が無い、手ぶらで帰る他無かった。
【イチオシ記事】愛妻家のはずの夫が初めて朝帰り。「ごめん、これ見て」と見せられた動画には、ホテルでされるがままの夫と、若い女が…
【注目記事】3月上旬、がんの手術のため妻が入院。腫瘍が3カ月で約3倍の大きさに。全部取り切り、何も問題はないと思っていた、その時は。