たかちゃんと豆戦車

たかちゃんが、お婆さんに連れられて、米軍基地の近くの親類の家に出向いた時の話だ。そこには、鉄のフェンスの前に、小さな豆戦車が二両放置されていた。

周辺の住民が、放置された豆戦車の撤去を求めて、プラカードを突き立てて揉めていた。

「アレの所為で、お客が怖がって、こっちとら、商売が上手くいかないんだよ」

と、タバコ屋のお婆さんから、たかちゃんは、目の前の豆戦車で困っていると聞かされた。

「アレ(豆戦車)が、無ければ、この辺の人が助かるのか、どうにかしよう!」

たかちゃんは、これも人助けだと思い、その豆戦車をどうにかして、持ち去ろうと考えた。

「私の力でも、上手くやれば、その豆戦車を、家まで持って行けるかも知れない?」

丸太をキャタピラに噛ませて引いて運べば……。小さなたかちゃんにも運べるのではと思い付いた。早速、たかちゃんは、豆戦車に丸太を噛ませて、力の限り引いてみた。

「そーれっ、そーれっ!」

すると、ガシャッ、錆びたキャタピラが軋みを上げる。次の瞬間、豆戦車は、小さなたかちゃんに引き摺られ始めた。ガシャガシャ、キキッキ、ガシャガシャ、ギギギ。

「よーし、この調子で引っ張れば、この戦車は家まで持って行ける!」