【前回の記事を読む】子どもがうるさすぎる。我慢の限界で、押し入れに閉じ込めてやった。しばらくして、様子を見ようと開けてみたら…。

第二章 入園

第三部 発表会

幼ち園のときオルガン「教室」へ行っていた。先生はその幼ち園の先生だった。そこで僕が知っている限りではじをかいた事は、音楽の楽ふの上のところに、男の人と女の人がだき合っている絵があったときの事だ。先生が、「この絵は何をしているとこでしょう」と聞いた。僕は正直に、

「キスしている」

と言ったら、みんなは大笑い。もちろん母は真っ赤な顔をして笑っていた。後ろの子が、

「お前とろいなぁ(エッチだなぁ)」

と、背中をどついた(たたいた)(本当はどんな絵だったかわからない)。

次にそこでおこられた事は、僕があまりにも早く行き過ぎて、退くつしていたので、机の間をぴょんぴょん飛んでいた。すると、ニワトリがコケコッコーと鳴いた。僕がいい気になって、「夜が明けた」と続けた。

オルガン教室が終わった帰り道、母が、

「何? 今日のあの態度!」

「はあ? いつの!」

「始まるときだがね。あんな『こけこっこー夜が明けた』なんて、落ち着きのない」

と言われてしまった。そのころは、まだ小さかったから、良いのではないの。

あれから半年、僕は真面目にオルガン教室に通った。

そんなある日、知多郡のオルガン発表会があることになった。僕は先生からの指名で、一番先頭でカスタネットをたたくことになった。

オルガンが並んでいるところを一周して、一周したところで、音楽が鳴り終わるまで足ふみをする約束だった。

さて本番、内海まで自動車で行った。その時の自動車は、トヨペットコロナの千五百。

やっと会場に着いた。

僕たちの番が近くなったので、楽屋裏へ行った。

みんなあわただしく、動いていた。サンタクロースに化けるおじさんが、一生けん命におけしょうをしているのが面白かった。

いよいよ次は僕たちの番。前の番にやった子たちは、しんけんな顔をしていた。僕の胸は、大きくときめいた。ドッキンコ、ドッキンコと。