早速二人は週末にホテルオオツへとやって来ると、スタンバイをして誰かが来るのを待つことにした。

誰も来ない可能性があるということは想定しているが、幽霊が出ることは想定していない。なぜなら二人には霊感というモノがないらしく、幽霊を見ることはおろか、背筋がゾクゾクするといった経験すらないからだ。

「来た!」

明らかに複数の人間による話し声が近づいて来た。懐中電灯の明かりも見える。

「よし、用意するぞ」

晃司は持って来た紙袋から、長い黒髪のカツラを取り出して被ると、白い服を着て手に包丁を握った。

今二人がいるのはホテルの三階で、ターゲットが両端にあるどちらかの階段を使って、三階まで上がってきたところで、三階の真ん中の部屋から飛び出して追いかけようという作戦である。

このホテルは六階建てだけど、あまり上の階までは上がって来ない可能性があるし、二階より下だとターゲットが外まで逃げた後に、冷静になって振り返って見上げられたり、もう一度調査に来られたら、身を隠すのに時間が足りない可能性があるからだ。

段々と声が大きくなり、ターゲットたちが二階まで上がって来たのが分かった。どうやら男女二人ずつの四人組のようだ。

「頼むから、二階までで帰ったりするなよ」

「確かに」

二人の願い通り、ターゲットの四人組は三階へと上がって来た。

四人が最初の部屋に入り、わいわいと探索し、次いで隣の部屋に入る。そしてその部屋から出て来たところで、晃司は廊下に出て包丁を振り上げた。

 

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