そのような状況の中で、職場に向かい、自分の痛みを押し隠して、職場の人には気づかれないようにしていたのです。私にとっては、職場が「逃げ場」となっていたのだと思います。

⑦ パンクしても頑張れ!

彼は口癖のように、私に「家を出て職場へ行ったらお金をもらうプロだから、仕事に専念しろ。オールマイティ・スペシャリストとして仕事をしろ。また、仕事を終えて一歩外に出て帰路についたら、主婦として母として精いっぱい尽くせ。人に頼るな」と言うのでした。

彼の言葉にコントロールされていたのかもしれませんが、私は、自分自身の意志で、彼から離れて職場で仕事をしている間は、新しい業務を工夫し突き詰めていくなど、精力的に仕事に没頭していました。その姿は、仕事に逃げていたのでしょう。

没頭することにより、不安から放たれていたのかもしれません。逃れようとしての頑張りだったのかも……。心理学・倫理における「昇華」とは、防御規制の一つですが、それに似ているのではないでしょうか? 頑張り続けていました。(注※)

(注※ 社会的に実現不可能な反社会的な目標・葛藤や満たすことができない欲求から、別のより高度で社会に認められる目標に目を向け、その実現によって自己実現を図ろうとすること)

その頃の自分を励ましている姿を、メモの中に見つけました。「世の中に甘えてはいけない。自分しかない。パンクしても頑張れ!!」と……。