きちんと説明しましょう

宮本さんは50歳の時、自動車事故に遭い頸椎の5番目を損傷し、胸から下がまひし寝たきりになりました。自宅で奥さんの介護を受けていましたが、65歳になり介護保険が利用できるようになってからは、市内の特別養護老人ホームに入所し介護を受けています。

ヘルパーが朝の検温や血圧測定をするため部屋を訪れた時、宮本さんは、

「起こしてくれ」

とヘルパーに頼みました。ヘルパーは一人で車椅子に乗せるのは大変なので、

「あとでね」

と言って宮本さんを起こさず部屋を出ました。宮本さんはその日一日機嫌が悪く誰とも話をしません。施設長が宮本さんのご機嫌伺いに部屋を訪れた時、宮本さんは、

「あのヘルパーに起こしてくれ、と頼んだのに無視して部屋を出ていった。首がしんどいから少しベッドを上げてくれるだけで良かったのに」

「宮本さん、体は動かないけど口はしっかり動くんだから、ベッドを上げてくれ、ときちんと説明しないとだめだよ。ヘルパーさんは、あなたが車椅子に移動したいのだろうと勘違いしたと思う。宮本さんは体重が重いから女性一人では動かせないんだ。

あとで皆と一緒に宮本さんをベッドから移そうとしたと思うよ。長い間ホームにいると、ちゃんと説明しなくてもヘルパーさんがわかってくれると思い込んでしまうけど、誤解を防ぐためにも、相手にわかるようにきちんと説明しないとあとで不満が出るよ」

宮本さんは「わかった」と一応納得して今回の誤解は解けたようです。