【前回の記事を読む】オリーブオイルを数日かけて注入し浣腸をすると、肛門からてのひら山盛り2つ分ほどの〇〇が。彼の腸は緩くガバガバで…
便秘診療はドラマがいっぱい!
まるで北風と太陽?十歳のサトル君
「まったく根性のない子なんだから、押さえつけて出すなり何なり、やっちゃってください」
ご両親から威勢のいい言葉が飛び出しますが、目には涙があふれています。
この状態では入院しての洗腸や、時には麻酔をかけての摘便が必要と判断し、宮本は大学病院への紹介状を書き始めました。
サトル君のパニックを見かねた外来看護師二人が体をさすり優しくなだめ、便汁で汚れたズボンを着替えさせようとし、そのままトイレに座らせようとしているようです。
紹介状をほぼ書き上げたところで、トイレから歓声が上がっているのが聞こえました。
慌てて駆けつけると、
「ゴツゴツゴツ……とトイレに出せました!!」
まるでイソップ寓話の「北風と太陽」のようなお話。
看護師さんたちの温かく優しい心遣いが、医師や両親の厳しい励ましよりサトル君の心に響いたということでしょう。看護師さんたちには頭が下がります。
さてその後、サトル君家族が喜び帰った後に、
「大変です、トイレが詰まっています!!」と看護師が飛び込んできました。
彼女たちは慌てて手を(もちろん手袋をはめ)トイレにつっこみ、大きな便塊を三個手でつかみ出してくれました。ますます頭が下がります。
しかしそれでもトイレのつまりは直らず翌日修理業者が、トイレを解体し、さらに二個の便塊を取り出したのでした。
その後お腹がペッタンコになったサトル君は翌日から大好きだった焼き肉を食べられるようになり、二週目からオムツで学校に行けるようになりましたが、尿意が戻ったのは二か月後、便意が戻ってきたのは四か月後からで六か月後には排尿排便にまったく問題がなくなりました。
「トイレまで便秘になる便秘でした」と、お父さん。
外来でサトル君の家族、医師、看護師みんなで大笑いでした。
いかがでしたか? こんなにも便秘の子どもたちがいてその周りには心配している家族、親族、教育関係者がいらっしゃるのです。
そうしてほとんどの子どもが便秘治療によって笑顔を取り戻していきます。
ドラマであふれる外来を医師、看護師、技師、事務職員で泣いたり笑ったりしながら支えていきたいと思っています。
(二〇二一年五月三十日)