【前回の記事を読む】【北朝鮮滞在記】北朝鮮のクリスマス事情…大きな顎ひげを生やし赤い服を着た人物といえば、サンタクロースではなく…

第三章  一九九八~九九年 冬

一月十三日(水) 晴

ゴーストタウン

北の夜は暗黒に近い。宣徳(ソンドク)からサイトまで行くのに通過する街や村のほとんどに街路灯はなく、アパートも真っ暗で人が住んでいるとは思えない。

ただ、新浦(シンポ)市に入って電灯が点いている家を相当見かけたが、これはひょっとしたら夜八時からは一定時間電気が使えるからではないかと勘ぐったりした。

牛車に運ばれる薪

バスが山間部を通る時、薪をリヤカー(牛車)に積んでどこかへ運んでいる人を何人か見かけた。

おそらく炊事と暖房用に使われるのだろう。

高麗(コリョ)航空に搭乗する人たち

十二日、北京発の高麗(コリョ)航空平壌(ピョンヤン)便には、かなり大勢の客が乗った。北京空港の待合室ではユニセフ平壌(ピョンヤン)事務所のイタリア人医師に会ったが、彼は「北では焦らずに待つことが肝要」と言っていた。

日本人も何人か見かけたが、そのうち個人で旅行しているという日本の旅行会社の人と話す機会があった。

日本から北朝鮮への観光ツアーは「C旅行社」で、細々とやっている由。名古屋からのチャーター便がなくなったので、今は北京経由でやっているとか。今回は四泊五日で平壌を中心に観光コースの調査をするのが目的とのこと。

一月十四日(木) 晴

金(キム)副局長と期待感の持てる昼食会

思いがけず徐(ソ)代表から昼は麺類を食べようとの誘いがあったので、金(キム)職員と一緒にゲストハウスについていくと、韓国外為銀行の金支店長とGBの金副局長及び朴(パク)承学職員が現れた。

徐代表の招待を受けて麺(トウモロコシで作ったそば)を食べに来たとのこと。同副局長は、「先酒後麺(ソンジュフミョン)」という言葉を引用しつつ酒が準備されていないことに不満を漏らし、酒(焼酎)が出た後も料理や銀行預金(すでに韓国外為銀行に十万ドルを預金してあるという冗談を言っていた)などいろいろな話をして楽しく食事をした。

冗談が言えるというのは、それだけ心に余裕があり、お互いが親しくなったということのように見受けられた。仕事の話は一切出なかったが、GBの態度が徐々にいい方向に変わっているのではないかという期待感の持てる「昼食会」であった。