【前回の記事を読む】「異動方針について、説明します」女性と男性どちらの声でイメージされる? 40年前なら男性、2025年なら女性?
序章 仕事を続けるための拠り所
(1)34年での変化
「次に『人権意識の高まり』も近年大きな変化が感じられます。『不適切にもほどがある』が2024年の年間流行語大賞をとりましたけど、34年前は特に問題にならなかった性別による差別、パワハラ、セクハラ、マタニティハラスメント等が国内外の人権意識の高まりにより、今ではアウトになりました。
そしてこれまで「人権」というと同和問題やハラスメントを考えがちでしたが、企業活動のグローバル化により、児童労働や強制労働の禁止等、人権の幅は広がりました。当社も国際基準に基づいた人権方針を出し、取り組みを始めていますね。
そして最後に、『テクノロジーの進歩』。
パソコン、メールの出現、携帯電話の普及からスマホへの転換。そして、リモート会議、テレワークの一般化により仕事のやり方は劇的に変わりました。
この業務スタイルの進歩により、女性がライフイベントによって仕事をペースダウンする等の影響が少なくなりました。
これらの変化に対応しながらの34年の会社生活でした。お給料をいただきながら、成長の場を提供してくれた会社には感謝しています」
以上、ともすれば、いい子ぶりっこの挨拶に聞こえてしまうかもしれないが、本心で言った言葉だったことを今でも覚えている。
振り返ると、入社当時に想像していたのと全く違う道を歩んだが、結果として良いキャリアになり、納得感を持って卒業することができた。人事はよく見ていると思うとともに、自分に合った仕事に就かせてくれた会社には感謝している。
私の場合、複数の条件や運が重なって、一つの会社で仕事を続けた。一方で、仕事を続けたいと思っていたけれど、諸事情で仕事を辞めた、中断した友人もいる。さらに、仕事は続けるけれど、一つの企業や組織には属さないワーキングスタイルの人もいる。人それぞれだとつくづく感じる。
先日、久しぶりに学生時代の友人たちに会った。子育てをしながらの海外駐在生活から帰国した後に仕事を再開した人、子育てと仕事を続けながら学問を究め幅広く活躍している人、働き続けて役員になった人等、それぞれが、それぞれのおかれた立場でしっかり、そして真面目に頑張っていた。
海外駐在の帯同のために退職した友人は、
「明子は仕事を続けられたのでいいな」
と言い、私は、
「海外駐在を経験してみたかった」
と。
「隣の芝は青く見えるんだよねー」
と大笑いを皆でした。そして、
「それぞれが、それぞれに与えられた場所でしっかり生きることが大事なのかもね」
とみんなで納得をした。ノートルダム清心学園の故・渡辺和子理事長の著書の『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)のとおりだ。
3時間しゃべり倒して、
「お互いにエネルギーをもらったね!」
と言いながら、帰宅した楽しい日だった。