第1章 犬にトレーニングは必要なのか
グッドボーイハートという学び場
トレーニングの依頼の多くは、問題が起きた後です。子犬を迎えると同時にトレーニングを始める人はまだ少数派です。ですが、トレーニングスクールを利用するなら、犬を迎える前がベストです。なぜなら、犬の学校は、犬の育て方を飼い主が学ぶ場だからです。
街中で見る犬のストレス性行動の多さからすると、犬を理解している人はまだ少ないと感じます。犬育ての知識が普及しなかったことには、理由があります。日本は少し前まではまだ村が多くあって、そのとき犬は庭につながれて飼われていました。
もっと時代を遡ると、誰も飼っていない野良犬ばかりでした。しかし人のライフスタイルの変化に伴って犬を飼うようになり、室内飼育が増え、急激に都市化した環境の中で問題を抱える犬が爆発的に増えてしまったのです。
犬育てを教える場であるはずの学校が、犬の問題行動の解決の場として必要とされました。そこで「犬のしつけ方教室」も広がったのです。
犬に起きてしまった問題解決のための「犬のしつけ方」は「犬育て」と変わりはありませんが、その過程には複雑さを伴います。犬の問題行動は、飼い主が管理する飼育環境と犬への価値観の中で起きているからです。
解決のために飼い主の既存の価値観を変化させるには時間がかかり、犬の習慣化した行動、不服従、不信感、長年の飼育で作られた性質を変化させていくことはもっと長い時間が必要です。
「預かって訓練してほしい」という要望もありますが、預かり訓練では飼い主は犬のことを学ぶことができないし、犬と関係を作る機会も失ってしまうため意味がありません。