【前回記事を読む】山道を歩いていると、愛犬が急に立ち止まった。視線の先に落ちていたものは…「卵…?」
プロローグ オポと卵
例えば、他に山に落ちているものとして、むかご、地植えのブルーベリーの実、柿の熟した実、野生のうさぎの糞などがあちこちにあります。
これらの物を見つけたときは、停止のポーズをとって私に知らせることなく黙って食べていました。独特の「落ちている方向に体を向けて、足を大地にしっかりとつけ顔をそちらに向ける姿勢」で集中して私の反応を待つとき、その先に落ちているものは特別な何かです。
大抵は自然のものではなく人の所有物ではないかと、オポが経験を通して学んだものであったようです。
落ちているものの内容によっては、危険かと思い私が拾ってしまったものもありました。例えば、公園の隅に捨てられている食べ残しの鶏の骨、山の中で見つけた魚の頭、パンのかけらなどです。
過去に食べた経験があるものでも、オポがそれを見つけたときに慌てて口に入れてしまうことはありませんでした。
街中では危険性が高いものが多く、それらをオポに調べさせるわけにはいきませんでした。もしオポが見つけたとしても「それはダメだよ」と通り過ぎることばかりでした。
山に移ってからは大丈夫かなと判断したものは、オポが調べることを積極的に許可しました。許可とは調べることだけでなく、その後のこともオポに任せるという意味です。
あの山に落ちていた卵は、オポにとっては大好物のギフトだったでしょう。
私にとっては、犬の不思議を見せてくれるまた格別のギフトでした。同じものが都心に落ちていても、オポに調べさせることはできませんでした。山だからこそできるようになったことのひとつでもあるのです。
「オポと卵」の風景は、忘れることのない学びのひとつです。