打ち合わせがあったのか、大郎王子シロンが間を置かず、「このままでは大和豪族たちは収まらないでしょう。此処越に類が及ばないように、先手先手と打っていかないと」相槌を打って出る。

「そうじゃ、姫は私を気に入ってくれてるようじゃ。縁を結んで大和を牽制していきたいと思っているが、尾張氏、坂田氏、息長氏、茨田氏、和珥氏、根王、どうか賛同してほしい。争いのない蓬莱の国を守っていくのがご先祖様からの宿願でもあった。

対岸の火がこれ以上燃え移ってこないよう、用心に越したことはない。放っておくのもよかろう。じゃが、私は決断した。手白香姫を我が妃として大和へ進出したいと。姫は大伴従え、単身で乗り込んできた。立派だと思わないか。

我が母、亡き王太后もかつて単身嫁ぎ、父亡きあと、私の手を引っ張ってこの越の国へと帰ってきた。そして今のわしがあるのじゃ。失くして分かる大切なもの。皆も大なり小なり、失くしていまいか。姫の気持ちがわしには痛いほどよく分かるが、どうじゃ。姫に力を貸し、大和に乗り込もうぞ、朝鮮の二の舞にはならぬようにしなければ、いつまで経っても争わなければならなくなる。そのような世の中を子孫に残すのか」

大王オホトは力説した。

「おおおおおっ、その通りだ」

さすがは大王オホト様、宰相孫氏、「九地」のことは今はまだ言うまい、口を固く閉じた。

 

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