【前回記事を読む】「ポチ、見て!」川岸で輝くホタルの光。夢中になって追いかけていると、足を滑らせてしまい、気づいた時には……。

第一章 エメラルドグリーンの国

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(息が苦しい。ここはいったいどこなの?)

ルリエは起き上がろうともがいたが、体中の節々が痛くて手足を動かすことができない。

辺り一面、こげ茶色の煙に包まれ、鼻をつく刺激臭が漂っている。向こうの方で爆発音が轟き、赤や青の炎が飛び散っている。

もし地獄があるとすれば、きっとこんなところではないかと思えるぐらいだ。息が苦しくて、また意識が薄れていく……。

「ぐずぐずするな。ここは危険だ。早く引き上げろ」

「隊長、ちょっと待ってください。あそこに、誰か倒れています」

「こんな危険地帯に人がいるのか! よし、すぐに見てこい」

酸素マスクをつけて、宇宙服のようなピカピカ光る銀色の服を着た若い隊員が、駆け足で近づいてくる。

「隊長、女の子です。マスクはつけていませんが、まだ息があります」

若い隊員は、大声で隊長に報告する。

「マスクをつけていない! わかった、すぐに行く。おうい、酸素マスクを用意しろ。大至急だ」

隊長は、別の隊員に言いつける。間もなく、酸素マスクを持った隊員が駆けつけてきた。

「どうだ、助かりそうか?」

隊長が若い隊員に尋ねる。

「はい、運のいい子です。脈はしっかりしています。しかし、大量のガスを吸い込んでいますので、何らかの影響が出るかもしれません。どうして、マスクもつけずにこんなところにいたのかわかりません」

「うん、自殺行為だな」

若い隊員と隊長が話をしている間に、もう一人の隊員がルリエの口に素早く酸素マスクをつけ、ボンベのコックを捻って酸素の出を調節している。

こうしているうちにも、爆発音はますます激しくなり、得体の知れない低い唸りが海鳴りのように近づいてくる。

「おい、どうだ? 急がないと、危ないぞ」

「はい、完了しました」

「ようし、出発するぞ」

ルリエは二人の隊員に担がれ、探査車へ連れていかれた。