【前回記事を読む】パーキンソン病を早期発見するために。補助診断としての利用が期待されているバイオマーカーとは?
第1章 パーキンソン病の基礎知識
多彩な症状と進行の度合い
診断3 バイオマーカー(biomarker)
また発症10~20年前の基準値が、発症時のものと同じでよいかという議論もあるでしょう。Braakの仮説が正しければ、10~20年前の血中のシードはさらに少ないか、存在しない可能性もあります。
いくつかのバイオマーカーを組み合わせ、診断率を100%に近づけることは当然必要ですが、100%にならなくても早期介入することは可能でしょうか?
発想を転換する必要があるかもしれません。
パーキンソン病の発症は中高年期以降が多いので、体の末梢にα-synが溜まり始めるのは30~40代くらいでしょうか?
パーキンソン病だけをターゲットにしたスクリーニング法が確立されたとして、この年代でどれくらいの方が高額のオプションの検査を受けてくださるでしょうか? また便秘や嗅覚の低下でパーキンソン病を疑い、専門医受診に辿り着く方がどれだけいるでしょうか。
腫瘍マーカーと同じような形で、1種類でも信頼のおける廉価なバイオマーカーが開発されて人間ドックのオプションに入れば、ある程度の数の方が選択するかもしれません。
他方、予防医学・未病医学の立場から、α-synの増加や凝集、伝播を抑えてくれるような、薬というよりもサプリメントに近いもの、しかも、それが健康増進薬として、アルツハイマー病や癌、糖尿病、生活習慣病と共通の基盤を持つリスクを下げるものであれば、若い時期から飲んでみようと考える方も多いのではないでしょうか。
その場合、100%の診断率にこだわる必要はないでしょう。
実はパーキン蛋白は、そのヒントを与えてくれる気がします。