【前回記事を読む】「あれでいいじゃないか。しつこいんだよ」と一喝された。馬鹿みたいだ。帰ろう。だが帰っても嫌みと罵りを浴びるだけ…
6 少水常流如穿石
悠々と道もない広い空を横切る機体。距離も高さも制限がない、曲がり角さえない空の道。機体は大きな森の上を渡りながら、地上に落ちた機体の影も揺れながら流れていく。
過酷なGに耐えなければならない演技を前にして、あるいは演技を終えて。そんな負担などこちらには少しも感じさせずに、実に悠々と機体は飛ぶのである。
技を磨き、披露するために乗り越えた道、そこにかけた時間、執着に近い情熱。美しいものの裏には、不揃いでばらばらな色の石を敷き詰めたような道がある。
時折危なっかしくやっとやっと積み上げたような石の塔が見える。また飛行機見に行きたいなあ。見上げた太陽が眩しい、足元は寒いけれど。乱雑な落書きは消えかけている、残らないものはいつも愛しい。さて、今日も頑張ろう。
7 写真
篠山紀信展「写真力」を見に行った。一昨年に引き続き二度目である。
氏の「写真力」の文章が秀逸だ。「偶に神様が降臨したスゲエ写真」と表示してあるが、確かに圧倒されるすごい写真ばかりである。
こういう展覧会って、ひとりで行くのもわくわくしちゃうのだが、誰かと一緒に行くのも刺激がある。
感性も着目点もまるで違う。「価値観と感性の友好的交換」と、連れに表明すれば、「なにそれ?」と冷ややかな一瞥(べつ)を食らう。同じものを見ても感じ取るものはまるで噛み合わないのである。
大原麗子さんの美貌に時を忘れて見とれていると、隣では「怖~い。ねえ、こんなにでかいと圧迫感があるよね~」。
山口百恵さんの色気に凌駕(りょうが)されていると、「天下の百恵ちゃんなのにおへそが残念、フフフ……」とはじまる。