ホッとしていたのも束の間、機動隊のような服を着た隊員が8名ほどの集団で現れた。

規則正しく無駄がない訓練された動きだ。通称「ガサ入れ」イベントだ。

抜き打ちで所持品や房内の検査が強行される。房内の人間はすべて表に出され畳もすべてひっくり返される。

「異常なし!」

「異常なし!」

次々に、隊員のおおげさな大きな声が響き渡る。訓練も兼ねているのだろう。

何もないだろうと思っていたら、アルミはくで作った極小のサイコロが発見された。岩井さんが弁当のゴミを利用して作っていたらしい。

そんなものを、目的もなくこしらえていた岩井さんも岩井さんだが、人間のモノづくりの意欲と、創造する力を目の当たりにして俺は少し感動した。

「問題ないとは思うけど、一応、没収するね」

看守の長が軽く言った。

サイコロは賭博の道具になる。賭博はトラブルの源泉だ。

アルミサイコロは房内から消えた。お咎(とが)めはなかった。

 

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