【前回の記事を読む】妻が寝たきりになった。治療のため病院を転々としていた時、“一言だけ”言葉を絞り出してくれたが…上手く答えられなかった。
妻の笑顔
・11月3日から14日まで
11月9日(土)12時
今看護師さんに頼んで血圧を測って貰った。
上91下54で安定している。基本、定期的には測らない。
今日の昼から部屋が1007号室に変わった。
1日16500円、高い部屋代取って出て行かせる算段か。早く受け入れてくれる病院を探さないと又お金が飛ぶ様に消えて行く。お金が消えて行く不安。
とは言っても、利恵子には1日でも長く生き延びて欲しい。生き延びることが出来るのなら、お金は惜しまない。
利恵子は時々声を出して何か話そうとしているが、何を言っているのか分からない。こんなに歯痒い思いをするのは初めてだ。
映画やドラマで観た事は何度もあるが、まさか私にこんな災危が降りかかるとは!
辛くて悲しくて涙が出る。
利恵子も私も何と言う惨めな姿なのだろう!
文章を書いていると余計に辛くなる。
11月10日(日)午前4時22分
利恵子は夜通し起きていた様だ。
いつ見ても悲しそうに目を開いている。時々悲鳴の様な奇声を発したり呻いたりしている。
何か喋っているのかな? 良く分からない。
これは家に居る時も時々あった。夜中に奇声が聞こえて飛び起きた事もある。不安なのだ。
もしかしたら悪夢以外にも幻視とか幻聴があるのでは?
私も眠りが浅く寝た気がしない。
朝起きたら喉が痛い。風邪を引いたのでは?
何処迄落ちれば気が済むのだろう。
明日起きて発熱していたら、天理へは行けない。
掛かり付けの診療所でコロナとインフルの検査をして貰い、ただの風邪なら薬を貰わないといけない。
昨日の10時半から今日の15時迄利恵子に付きっきりだ。
夜中も利恵子が酸素マスクを外すのと、奇声を発するのとで殆ど寝ていない。疲れに依る風邪だとは思うが利恵子に移したらひと堪りも無い。
明日は1日休養だ。本当にもう限界だ。
自己満足かも知れないが、これだけ利恵子に付き添ったら利恵子も私を許してくれるだろう。
それにしても2人で病院のベッドに寝ている時と、元気だった頃の利恵子とは全くの別人だ。
以前の利恵子は何処かに行ってしまった。利恵子が瀕死の状態の中でこれは自分勝手な要求なのだろうか。
言葉を話さない利恵子、会話が無い。
苦痛のせいか、時々何とも言えない本能剥き出しの表情をする。それを見るのが辛くて悲しい。
15時過ぎに天理病院を出た。
今日は日曜なので、天理行きのバスは運行していない。1人とぼとぼと歩いて帰る道すがら又涙が出た。
人通りが無いので思い切り声を出して泣いた。