7-5.普通のことを普通にやろう

普通のことを普通にできる人は少ない。ジムに、特に公共施設のトレーニングルームや格安の24時間ジムに通っていると、非常に実感できるはずだ。

え! そんな方法で……?といったマシーンの使い方。ベンチに座って30分スマホ。なかには読書を始める人もいる。

正しい筋トレを行えば、1回45分、週2回でも十分良い身体になれる。だが実際にジムに通っている人で、いい身体をしている人は驚くほど少ない。筋トレをしていない高校の水泳選手の方が、姿勢もよく良い身体をしている。参考までに、テレビで競技水泳の大会を見てみて欲しい。あの身体になっている人は、ジムにほとんどいない。

突き詰めると、身体は人それぞれなので、合うフォームは違う。また年齢やレベルによってフォームも変わってくる。

だがまず間違いがない、基本となるフォームは存在する。そして、適切な反復回数(6~12回)も存在する。基本となるエクササイズ(BIG3など)も存在する。

これを守ってやれば、誰でも身体は変わる。カッコイイ身体になる、というセオリーは存在している。なのに! やらない人が大半なのだ! やれば結果が手に入るのに、だ。

なぜ人はジムに通っても、適切な筋トレを始めないのか。何となく自己流を続けている人の数は多い。

もちろん、それが無駄だとは言わない。だがもし「短時間で怪我無く、身体を変える」これを目的としてジムに来ているのであれば、セオリーから外れる理由など本来ない。

当たり前のことを、当たり前にやる。人は、それができないのだ。

この話は、筋トレ以外の分野にも応用できる。実は世の中においても、当たり前のセオリーを守らない人は多い。いや守れない人かもしれない。結果、時間やお金をドブに捨てている。

OECDの平均をもとに、PIAAC(OECD主催の国際調査)の結果を要約してみよう。

①先進国の成人の半分(48.8%)はかんたんな文章が読めない。

②先進国の成人の半分以上(52%)は小学校3~4年生の数的思考力しかない。

③先進国の成人のうち、パソコンを使った基本的な仕事ができるのは20人に1人(5.8%)しかいない。(『もっと言ってはいけない』 橘玲著 2019年 p24)