こうして、原因も対処法もわからぬままプロジェクトが停滞し、徐々に挫折へと向かい始めます。担当者が「うちの会社は堅すぎる」「大企業で新規事業は創れない」と愚痴をこぼすようになると、もはや動力を失い、名もなき岸に向かう小さな船のようなもの。
ベストを尽くした担当者には申し訳ないですが、何も成せずに動きが止まることが目に見えているお決まりの失敗パターンになります。
これが最も伝えたい典型的な失敗例です。
失敗の道を辿るべくして辿っています。担当者が悪いわけでも、大企業という構造体が悪いわけでもありません。ただ参考書選びが間違っているだけです。新たな事業を創造するからといって、スタートアップを志向することが間違っているのです。
これまでに述べてきたように、大企業とスタートアップはそれぞれが別の世界。
新たな事業創造と一言でいっても、大企業のそれとスタートアップのそれではまったくの別物だということを理解してください。
例えるならば、同じスポーツでも、野球とサッカーくらいに違います。野球選手を目指す人が、サッカーの参考書通りにトレーニングを重ねることはないでしょう。野球の参考書を読むほうが良いに決まっているのですから。
大企業の事業創造担当は大企業に相応しいやり方で、事業創造を進めなければいけません。
正しい方向で努力しなければ、すべての努力は水の泡。大企業の特性を踏まえたやり方を追求する必要があります。