4 同居生活〔2011―5~〕
退院した頃の母は腰痛を訴えることが増え、レントゲン検査をしてみると脊椎が3つ潰れていることが判明しました。
人間の背骨の椎体数は首部分7個、背中部分12個、腰部分5個の合計24個です。母がどの部分の椎体が潰れていたかは不明ですが、首部分ではないことは確かです。見た目で腰が曲がっている、というほどではなく、骨粗しょう症の薬も服用していました。
血圧も高く、上が180程度あったので、降圧剤を飲まなければなりません。それらの薬を取りにいくのも私の役割ですが、まだ働いていたので正直かなり面倒でした。
また、母は入浴が大好きで毎日入りたがりますが、日々忙しい私がその要望を受け入れることは困難でした。このとき、利用していたサービスはデイサービス週2回と訪問ヘルパー(入浴担当)週2回です。
介護保険法では、福祉施設において入所者を週2回以上入浴・清拭(きれいな蒸しタオルで体を拭くこと)することが定められています。これが守られていれば法令上の違反にはなりません。
しかし、この法律の規定が正しいのか、疑問です。規定は人間として普通に生活をするうえでの最低限の基準のように感じます。持病を持っている方、入浴できない何らかの正当な理由がある場合に適用すべきです。そして毎日入浴する高齢者は要介護認定されるリスクが低いという事実も確認されています。
母の希望である毎日の入浴は無理です。しかし、法律で規定する週2回の倍、週4回の入浴は実行しているのでそれで納得してほしいところです。
退院した直後の5月、来客が帰り、母が玄関ドアーの鍵を閉めようとしました。玄関床と上がり框の間に段差解消の補助用具として玄関台が置かれています。上がり框(かまち)から玄関台に移ろうとしたところで、母は足を滑らせ転倒。左腕の骨折で完治まで6週間、ギプスで過ごすことになってしまいました。
母は戸締りに関して非常に神経質でした。私が門扉を閉めるときも「カチンとやってね」と言い、サムターンをきっちりかけることを要求されたものです。