【前回の記事を読む】社会福祉士の実習で出会った人工関節置換術という希望。母を説得するが、肝心の母は…
〈健常者に近かった頃の母〉
3 人工関節手術〔2011―3〕
現在の人工関節置換術は母(当時79歳)が受けた頃より、さらに進歩・発展しているようです。その頃の人工関節の寿命は15年~20年程度でした。
人工関節の入れ替え手術は1回目と比べて難しくなります。そのため、65歳以上であれば、入れ替え手術の可能性が低いため「人工関節手術は65歳を待ってから」と言われてきました。しかし近年は材質も日々向上し、人工関節の寿命は30年程度と考えられており、適応年齢の考え方も変わってきています。
また、現在ではMISという方法があり、8cm~12cmの皮膚切開で済んでしまうのです。傷跡が小さくなり、痛みも少なく、早期に歩行訓練が始められます。
1回目の手術は東日本大震災の翌日だったので、よく覚えています。両膝ですから、2回の手術が必要です。病院の規定で1回目が終わり、すぐに2回目の手術とはいきません。1回目が終わったら一旦退院し、翌日に再入院するのです。このあたりもかなり面倒で、余計な出費もありました。
手術を受けた病院の方針もあるのでしょうが、現在では両足同時に手術する事例もあるようです。そのほうがトータルの治療期間が大幅に短くなるメリットがある反面、手術を受ける患者の体への負担が大きく、合併症のリスクが上がるというデメリットもあります。
最初の手術が終わった段階ではまだ歩けないので、手術前にお世話になった老健に1泊の宿泊をお願いしました。それだけで2万円以上の出費だったことをよく覚えています。
手術中は同居予定者が立ち会うことになっています。私は2回も待合室で5~6時間待たされ、うんざりしました。
少し手間はかかりましたが、2回目の手術も無事に終わり、痛がっていた術後すぐに行うリハビリも完了。5月に入り、いよいよ退院することになりました。