化石医師はかつて肝臓を直接観察する腹腔鏡に取り組んだことがありました。その後CTや超音波検査、MRI(磁気CT)などの画像検査法が発達し、腹腔鏡の時代は終わったかと思われました。しかし、今日腹腔鏡を用いた手術が隆盛なことはあえて言及するまでもないと思います。
同様にかつて不明瞭な画像で読影に苦労した造影剤の点滴による胆管造影も、CTとの組み合わせで再び重要な検査法になっています。こんな検査のテクニックばかりでなく、再び感染症に目を向ければ薬剤耐性菌の出現は周知のことです。
前述のインフルエンザにしても治療薬に対する耐性ウイルスが既に出現しています。一方、感染を受ける私達にしても不思議なことに、感染しても100%発症することはありません。死の病と恐れられたエイズにしても当時でも治癒した例がありました。
歴史上においてもペストや天然痘などの様々な恐ろしい感染症の流行が記録されています。しかし人類の滅亡はありませんでした。ノアの方舟ではありませんが、この世ではウイルス、細菌、人類を問わず全ての生物においてどんな事態になっても必ず幾ばくかは生きながらえる法則があるように思います。
こうした法則を考えると、工場製品やスーパーの野菜のような画一的な物ではなく、多様性が大切だと思えてきます。
私達の組織でも同じ考えの人間だけでまとめることは、組織の脆弱性につながります。異なった考えがあるからこそ、想定していなかった事態が生じた時に生き延びることができます。そんな風に考えると武力で無理矢理同じ宗派だけでまとめようとするイスラム国(IS)は不自然であり危ない。
それよりも様々な思想を受け入れる日本は幸せな国だと思います。