第1章 医療

100%?

「そんなことはあり得ない」との識者のコメント付きでしたが、絶滅したはずのニホンオオカミが生きているかもしれない。残された糞からそんな疑問を抱き三重県でオオカミ探しの取り組みが始まった、との報道がありました。

化石医師の経験では絶滅危惧種のハッチョウトンボを目にしたことがあります。また患者さんを診察する中で、日本から絶滅した日本住血吸虫の卵を肝臓の組織内に認めたことが2例ありました。トンボに関してはそのまま静かにしておく方が彼らにとって幸せと考え他言しませんでした。

「この薬が出たから肝炎は全て治る」
「ヘリコバクターピロリを除菌すれば日本から胃がんはなくなる」。

最近こんな発言を耳にします。前述の経験に加えひねくれ者の化石医師は「そんなことを言っていいのかな。そんな風に言い切れるとはなんと素直な方だろう」と思ってしまいます。

45年間医療に携わってきて、病気はそんなに単純ではないと思ってしまいます。

ずっと昔になってしまいますが化石医師が卒業の頃「もう感染症の時代は終わった」と言われました。その発言は化石医師の医師としての進路の選択に大きな影響を与えました。でも感染症の時代は終わったのか? 

エイズ、エボラ出血熱、ジカ熱に代表される新たな感染症に振り回されている現状を見れば解答は明らかです。そんな新たな感染症ばかりでなく身近なインフルエンザですら卒業時には「4月を過ぎれば日本からインフルエンザはなくなる」と講義を受けたものです。しかし交通網が発達し、全世界的に人口移動が盛んな今日では、流行しないだけで季節外れでもインフルエンザは起こり得ます。