第3章 歴史
9世紀後半に入植したヴァイキングが建国した国
歴史を紐解くと、アイスランドへの最初の永住者は、874年にノルウェーからやって来たインゴールヴル・アルナルソン(Ingólfur Arnarson)とその仲間達で、所謂ヴァイキングだ。
ヴァイキングというと、海賊行為が専門の「略奪者」というイメージが強いが、実は、一部の勢力はヨーロッパ各地に移住し北フランスにノルマンディ公国を建設したり、その子孫はイングランド王になったりと、ヨーロッパの政治や、貿易を通じた経済発展にかなり貢献した人達であった様だ。
アルナルソンらは先ずレイキャビクに定住することになったが、何故レイキャビクが選ばれたのかが興味深い。
当時のヴァイキングの慣習によれば、どこを定住地にするかは、船の上で家長の座る位置を示す木製のポールを海に投げ入れ、そのポールが漂流し漂着した場所とするのが決まりであったという。レイキャビクの場合も、ポールを島の南部から投げ入れたところ南西部の湾に漂着、定住地となったそうなのだ。
こうしたアイスランド人のルーツは、近年のDNA調査によって科学的にも明らかになりつつある。興味深いのは、男性と女性とでかなり異なっているのだ。
調査結果によると、男性の祖先の80%はノルウェーを中心とするスカンジナビア地方から来たノース人(=ヴァイキング)で、残り20%はゲール人(アイルランド人やスコットランド人の祖先)である一方、女性の祖先は37%がノース人、62%がゲール人となっている(1)。
つまり、アイスランド人の祖先は全員がノルウェー方面からのノース人だった訳ではなく、ノース人がアイスランドへの航行の途中や、アイスランドからの遠征中に、スコットランドやアイルランドに立ち寄り、そこの人々を奴隷や妻としてアイスランドへ連れてきたものと考えられている。
【参考文献】
1 “The majority of Icelandic female settlers came from the British Isles” by
deCODE genetics, Feb 2 , 2001
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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