巻頭注
本書における「型」と「形」の表記について
本書では、「型(カタ)」と「形(カタチ)」という言葉を中心に、身体の動きと表現の本質を探っていきます。これらの言葉には、それぞれ複層的な意味があり、文脈に応じた表記の使い分けが必要です。本書では以下のような指針に従い、表記を使い分けています。
●「型(カタ)」
伝統・技術・形式・文化的枠組みとしての「型」。
例:琉球舞踊の型、武道の型、茶道の所作など。
・初出時は「型(カタ)」と表記し、読みと意味を明示する。
・以降は文脈に応じて「型」と表記。
・一般論や概念として論じる場合は鍵括弧を用いず型とする(例:「型は動きを整える」)。
・対比・語句強調が必要な文脈では「型」と鍵括弧付きで使用。
●「形(カタチ)」
「型」に生命や感情が宿った、生きた動き・表現の「形」。
例:感情がにじみ出た形、踊りの中で立ち上がる形。
・初出時は「形(カタチ)」と表記し、意味と読みを明示する。
・以後は「形」とし、特に「型」との対比、生命力を伴った動きに用いる。
●形(カタチ)
文化的・感情的意味を伴わない、一般的・中立的な形。
例:空間の形、人間関係の形、骨格の形。
・鍵括弧なしで表記。
・文脈上、文化的意味づけのない構造的・説明的用法に限って使用。
本書では、こうした使い分けを通じて、「動き」がどのように意味を帯び、生命や文化とつながっていくのかを考察していきます。