とは申しましても、瞑想に関心を持たれました方々に“伝える”という実践を長年経てきて出来上がったものではありませんので、この本も私の単なる覚え書きに等しいようなものになりました。また、書籍の内容も、いわゆる教科書というような固いものではなく、読み易いものを目指しましたので、あまりカチッとした印象は与えないかも知れません。

しかし、まだまだ十分ではないと思いますが、瞑想を実戦している方々が実際に直面なさるであろう疑問にできるだけ丁寧にお答えしようという努力はさせていただいたつもりです。

そして、本書では、分かり易いように瞑想を『自己認識の瞑想』、『無我の瞑想』、『愛の瞑想』とタイプ別に3つに区分して説明させていただき、また、その相互関係についても触れさせていただいております。

また、本書の書名を『愛の瞑想入門』とさせていただきましたが、それは、一般に今まで『瞑想』とは考えられて来なかった『愛』も立派な『瞑想』の一つのタイプなのだという事実を是非知っていただきたかったからです。

私達の心の中に日々生まれ出てくる『愛』を大切に育むことは、『無我の瞑想』と同様の効果を生み、瞑想者を『覚醒』へと導くのです。実践を通して、是非この真理を会得していただきたいものだと思っております。最後になりましたが、本書が瞑想に興味を持たれている方々への一助になれば幸いです。

Chapter1 瞑想で広がる可能性

瞑想と宗教

多くの、信じることから始まる宗教では、その修行方法に瞑想が取り入れられています。ヨガも然り、禅宗も然り。しかし、私の場合は、何か決まった、既存の宗教を信じているのではありません。そして、瞑想については、実験しながら真理を探究するための一つの方法として捉えています。