会社での34年はあっという間でもあったが、途中、途中には苦しいこともあった。自分に合わない職場への異動、ワンオペでの二人の子育て、そして6年前には頸椎椎間板ヘルニアになってしまう等だ。

そんな時、拠り所にしていたのが、大学の恩師である島田淳子先生(お茶の水女子大学名誉教授)が、ご自身の経験をもとに教え子に伝えてくださった、「仕事を続けるための10か条」だ。

長年の会社員生活も「卒業」が射程距離に入り、島田先生に10か条を大切にしてこれまで歩んできた旨をご連絡したところ、「あなたが現代風にアレンジして後に続く女性を励まして」というメッセージをいただいた。

「管理職になるには」、「役員になるには」等の女性活躍推進関連の本が多い中、本書は「働き続けるためには」をテーマとした本だ。

仕事もプライベートも自分らしくありたいと思っている女性、また女性の部下を持ち、応援する立場にある上司の皆さまにとって、働くことについて考えるヒントになれば嬉しく思う。

2025年11月吉日

序章 仕事を続けるための拠り所

(1)34年での変化

2024年6月28日(金)、34年間務めた会社での最後の日。いつものように9時から月次の室内会議。一つだけ違ったのは、室長から、「小林さんは今日が最後の日です。長年お疲れ様でした(拍手)」それを聞いて、「今日で最後なんだ。なかなかイメージできないな」と、思いながら、パソコン返却手続き、新職場に送る荷物の伝票書き等を粛々と進める。

そして、資料を段ボールに放り投げてはシュレッダーに「ガー、ガー」とかける……。いつもの異動と違って、資料をバッサリ捨てられる何とも言えない爽快感を味わいながら。