「私服だし、先生が来たら下向いていたら大丈夫だって。話し掛けられたら、手伝いですって言っといて」

陽に言われる。それならばとそれぞれ調べに取り掛かることに。

「俺向かって左側の一番調べるわ」

大和がそう言うと蓮は、

「それじゃ時計回りに行こうよ。俺二番」

颯太が三番、四番が詩、柘植くんは五番、それから陽は六番ということになった。

私は陽に指名されたので、最初の備品室詰めだ。

「颯太! アラーム掛けておいてよ」

「おー任せておけ。でも手がかりは替わる前に見つけるかもよ」

何言ってくれちゃっているんだか、そう簡単に見つかりますかってんだ。

柚子は一人来年の学園祭の注意点と今年の弱点等々を箇条書きにしてみることに。最終のものは字の綺麗な陽に書いてもらおうなどと思っていた。

「なんだ松本一人か、他はどうした?」

突然声を掛けられ飛び上がる柚子。

「枡田先生! 足音忍ばせて来ないで下さい」

「悪い悪い。でも忍ばせておらんかったぞ。そんなことよりみんなはどうした」

「それぞれに散っています。細かく片付けなければいけないところもありますから。私は下級生に来年の参考になるかと思い、今年の注意点などを羅列しているところです」

「そうか、まっ頑張れ」

簡単な励ましの言葉を残し、生物の枡田先生は去っていった。

さてとーーーまっこれで大方は来年への申し送りは書けたことだし。颯太まだかなぁ?

「悪りぃ、悪りぃー! つい熱くなっちゃって。で、俺何やってればいいのかなぁ?」

「遅いよ! あっ、書いといたから、これやっておいて。宿直の枡田先生はさっき来たから、当分は来ないと思う。じゃ」

「おいぃ、俺の調べたことを聞かないのか?」

「みんなに聞くから大丈夫。それからこれは一応下級生に残す物だから綺麗に書いてね」

家紋の七曜は丸いので、それを模して造られたと思われる食堂は、梅の花弁のようになっている。大きなガラス張りの窓からは、光を多く取り込んでいて、壁が多い割に部屋の中は明るい。外壁が円を描いているほかは、これといって変わった物はないが、ただ一つ邪魔な物がある。柱だ。

なぜここにと思いたくなるところにある。部屋の中央よりもやや奥に入った場所。屋根を支えるにしても、もう少し別のところに作ってもいいだろうと思えるところにあるのだ。装飾用の柱なのか。漆喰で意匠を凝らした物が塗り固め浮き彫りに作られている。

 

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