【前回の記事を読む】友達は大学生だった?!  どうやら九鬼水軍について調べているうちにこの学園に辿り着いたらしい

第二章 学園の中で宝探し?

「なんか、あっちにはなくて、うちにはあるっていうのは、ちょっと嬉しいかも…」

「柚子、なーに浸っているの!」詩にしっかり、突っ込まれた。

そんなこんなでいろいろ話していたが、遅くなったので続きはまた明日にしようかと話しているところへ、ドアをノックする音が。扉を開けて入ってきたのは、あの眼鏡だ。

「失礼。富檣高校学園祭実行委員の諸君。先日は学園祭、楽しませてもらった。ありがとう。我々も祭りが無事に終わり親睦会を開いていたんだけど、帰りがけ見掛けたので、挨拶でもと思って。ずいぶんと盛り上がっていたようでなにより。ではまた」

突然入ってきた奴らに、あっけにとられて何も言えない私たちに上っ面だけ取り繕って言い募る貴檣の奴。言いたいことだけ言って帰りやがった。腹が立つ。帰れ帰れ! あーあ盛り上がりが萎えた。私たちも帰ろー。

私一人だけ家が少し遠くて、みんなはそれぞれ三十分くらいのところに住んでいた。いいなぁ~。

力を入れながら早歩きをしていると、横合いから声を掛けられた。

「松本さ~ん。松本さんだよね」

(へっ、誰)振り向くと、げっ! 眼鏡。

「つ、柘植くん。さっきはどうも」

どうもじゃないよ! 私は何を言ってんだ。

「松本さんもこっちなの。じゃあ今までも電車で会っていたかも知れないね」

さっきと違っていやに馴れ馴れしい。何か魂胆があるかも知れない。

「えぇ、柘植くんは今時珍しく、いつも本を読んでいたから気が付かなかったみたい」

「なんだ僕のこと知っていたんだ。だったら実行委員をやっている者同士、声を掛けてくれれば良かったのに」

「別に話すこともないし。声を掛けるほどの仲でもないから」

「なんか寂しいな。そんなことを言われると」