【前回の記事を読む】玄関先で母と鉢合わせ! 柚子の“彼氏騒動”はこうして始まった

第二章 学園の中で宝探し?

翌朝学校へ行き、いつも通りやっていても、あいつのことが気になって集中できなかった。放課後、学園祭の片付けなどのことで、実行委員会室に充てられている備品室大部屋に集まると、早速あいつの申し出をみんなに話した。静かに聞き入っていたみんなであったが、

「いいんじゃない。何か知っていそうだし」

 やはり、陽はそうくると思っていたよ。

「でも、横柄で失礼な奴だったじゃない。渡辺さん!」

 私は頭にきて、陽を初めて名字で呼んでやった。

「ゆっずー! ごめんって言ったじゃない。隔たりを持たないでお願い。今は宝の捜索に集中しようよ」

「だって、あいつ入れたくないんだもん」

「俺も柚子に賛成。あいつ感じ悪かったもん」

颯太。やはりお前には同じ血が流れているな! ちょっと自信を持った私は、

「それじゃあ、ぐだぐだ言っていても仕方がないので、決を採ります。挙手で反対の人」

「えーっ! 私と颯太だけ。めげる」

「まあまあ、情報を制する者が何とかって言うでしょ。親戚筋だということで知り得ていることもあるかも知れないと思うし」

「詩ーーー!!」

「そうそう、俺が聞いてきた先輩の話より、もっと確実な何かを知っているかも」

大和がそう言うものだから、「蓮もそう思うの」と助けを求めるように聞く私。

「いや俺は、あいつに興味がある。ずいぶん大人っぽく振る舞っていたのに子供のように宝探しの話に乗ってくるなんて。もう少し話してみたいなと思ったわけだ」

「じゃ決まりね。柚子連絡お願いね」

 陽が意気揚々と言ってくる。晩秋のもの悲しさが、身にしみるようだ。

翌日の土曜日、いつもの備品室大部屋に集まってきた面々。

「昨日も話したから皆知っていると思うけど、今回の宝探しにどうしても加わりたいと言っていた柘植くんです」

私は思わず、ぶっきらぼうになってしまう。

「改めて、柘植正巳です。突然の申し出を受けていただき、ありがとうございます」

なんか、挨拶素直な感じ。不遜な態度が見られないわ。挨拶も済み、とにかく私たちはどのように進めていくか相談する。

まずもって、私たちは土日に学園祭の最終片付けを実行委員だけでする旨と、食堂と備品室大部屋を使わせてほしいことなど先生に申し入れていた。

警備員は夜に巡回してくるだろうが、昼間は許可を取っているので回ってくることはないだろう。それでも当直の先生が土曜日は時々見に来るだろうから、それなりに備品室にも人がいないとおかしく思われるだろう。だから交代で人を配置。

さあ始めようか!

「じゃまず、家紋の七曜の食堂。一人ずつ調べて何か変わった物がないか。柚子は備品室にいてね。丁度良いから来年に向けての申し送りなんか書いたらどうかしら。一時間経ったら颯太と交代、順次、詩、大和、蓮、柘植くん、私と替わって行こう」

そう言われて柘植くんは、

「僕はちょっとまずいんじゃないかな」