美咲は行きつけの日本食のレストランへ行き夕食を済ませ、グロッサリーストアーで簡単に買い物を済ませるとそのまま自宅のアパートへ帰宅した。

二〇〇九年五月一日。彼女は初めて母国へ向かうためスーツケースに衣装を詰めている。当分の間、日本でバーレスクダンスの興業をするため、明日の夕方の便でニューヨークを発つ予定だ。彼女は生まれながらに両親が分からず孤児院で育った。

ニューヨーク州のオンタリオ湖に面したロチェスター市の郊外にその孤児院はあった。遠い記憶を思い起こすともの心ついたころには既に孤児院にいた。孤児院に預けられた経緯は当然ながら分からない。

日本人であり日本語を喋るが、今ではネイティブと同じように英語で会話している。美咲は孤独だったが何かが自分を引き付ける感じがしてならない。それも極東。日本から。

美咲は上手くなりたい一心でダンスに集中した。日々の大半の時間を練習に費やした。ハイスクールに通い始めた時、美咲のパフォーマンスを見たあるプロモーターがプロダンサーになる話を持ち掛けた。

美咲も断る理由もなく契約した。プロになった後は美咲の力量も上がった。世界をダンスの興業で渡航した彼女だったが、今回日本行きのチャンスが巡ってきたので、上機嫌だった。

 

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