急げ急げ

小さい、すっぽりと手のひらに収まりそうなくらいに小さい女神様は、ヌシと出会った時のように、白いトレイの中でわたしを待っていた。

今まで何度も実家や友人宅で猫を見たり、触れたり、ペットショップのショーウィンドウの前で立ち止まったりして、それなりに猫経験値はあるほうだと思っていた。

現に我が家にはアメリカン・ショートヘアのヌシがどんと鎮座していて、いつでもどこでも猫と一緒。猫ってあんな生き物だという一方的な思い込みで今日まできたが、今回のこの女神様は何か違う。

不思議なことにものすごく「バーマン」という猫種のDNAを感じてしまう。ミャンマーの高僧が可愛がったのもよくわかる。

何と表現したらいいのか、あまりにも無防備、あまりにも人懐っこいのだ。

新しい子猫の噂を聞いて遊びに来た友人に甘えて、喉はゴロゴロとずっと鳴りっぱなしで、友人の膝の上ですぐに寝落ちしてしまった。

 

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