【前回の記事を読む】秋葉原を空手着を着たまま走っていたらコスプレイヤーに群がられ…
Ore Joe! 俺たちの青春
ヨシオは、月に何回か秋葉原を走っている。何も変わっていない日常がそこにあった。
空手着を着て走っていたが、思っていたほど、通行人の目は怖くない。
コスプレの多い、この町では、空手着は普通に溶け込む風景だった。
ヨシオは、何度か秋葉原に来る中で、一か月に一度は、長距離を走ることにしている。
ヨシオは高層ビルの中を、西に向かって走ることにした。
東京タワーが見えてきた。
ヨシオは、そこからコースを南、海沿いに変え、下町を走ることにした。
高層ビルから抜け出すと、生活感の馨しく漂う街が開けてくる。
古くからある商店街にヨシオは安堵した。
北品川本通りに入ると、右手に神社が見えてきた。
品川神社だった。
ここは旧道。
神社の中に入ると、鐘撞堂があった。
ヨシオは、ここで一息つくことにした。
靴の紐を締めなおしていると、頭上からジェット機の音がしてきた。
生活感のある下町の上をジェット機が飛ぶ。
ヨシオはジェット機を見ながら、また走った。
運河が見える。
その向こうには、ビルディングが並び立っている。
古いものと、新しいものが調和して存在している東京。
何か嬉しい。
ヨシオは、ランニングの途中、よく行っていたモックテール店の向かいに、空手道場があることを思い出した。
ヨシオは、そこまでランニングすることにした。